「SAL」とは?Windowsサーバー・VPSでリモートデスクトップを使う際に発生するコスト
公開日: 2024.2.9
Windowsサーバー・VPSでリモートデスクトップを使う際に発生するコストを、一般的なLinux VPSなどと比較しながら解説します。
サーバー料金
Windowsサーバー・VPSが物理サーバーを運営するコストを元に算出する料金です。スペックごとに価格が異なり、スペックが高くなるほど料金が高くなります。
Linux OSで使うVPSの場合は、OSライセンス料金が発生しないため「サーバー料金 = 月額料金」となりますが、Windowsサーバー・VPSの場合は、後述するWindows ServerのOSライセンス料金が発生しますが、こちらはプラン料金に含めた形になっているのが一般的です。
各種Windowsの使用ライセンス料金
Windowsサーバー・VPSがLinux VPSと違うのが、Windowsの各種ライセンス料金が発生する点です。
一般的なPCでは、Windowsを使う場合はOSのライセンスを購入する(もしくはメーカーがOEMライセンスを購入して、インストールして販売する)というのが通常です。
Windowsサーバー・VPSにアクセスして、Windowsデスクトップを使う場合は、ユーザーは二つのライセンス料金を支払います。
- Windows ServerのOSライセンス
- リモートデスクトップ・SAL
- Microsoft Office SAL
Windows ServerのOSライセンス
オープンソースとして公開されているLinuxとは違い、Windows ServerにはPC向けWindowsと同様にOSライセンス料金を支払う必要があります。
ただし、WindowsサーバーのOSライセンスは、PCのようにユーザーがMicrosfotに支払うのではなく、Windowsサーバー・VPSを運営する事業者がMicrosoftに対して支払います。
そのため、Windowsサーバーを使うユーザーがMicrosoftにライセンス料金を支払う必要はありませんが、サーバー事業者は利用料金にWindows ServerのOSライセンスの分のコストをのせて月額料金を決定しています。つまり、ユーザーはサーバー事業者から徴収される利用料金に含まれる形で、間接的にWindows Serverライセンス料金を支払っていることになります。
Windowsサーバーサービスが、同等スペックのLinux OS向けのVPSよりも料金が高い傾向にある要因の一つでしょう。
リモートデスクトップ・SAL
Windowsサーバー・VPSでリモートデスクトップを使う上で欠かせないのが「リモートデスクトップ・SAL(正式名称はRDS SAL)」。
Windows Serverでは、自社サーバーでWindows Serverを運用する場合はアクセスユーザーごとに「ユーザーCAL」と呼ばれるライセンスが必要ですが、Windowsサーバー・VPSを提供している事業者からサーバーをレンタルする場合は、機能ごとに「SAL (Subscription Access License) 」を支払います。
リモートデスクトップ・SALは、契約したWindowsサーバーに接続して、リモートデスクトップ環境を利用するためのライセンスで、オプションとして月額料金を払うのが一般的です(一部サービスは、料金プランに含まれます)。
リモートデスクトップ・SALは、「アクセスするユーザーアカウントごと」に料金が発生します。また、サービスによっては「リモートデスクトップによる同時接続数は1サーバーあたり”2接続まで”」といった制限がある点も注意が必要です。
Microsoft Office SAL
リモートデスクトップ環境下でMicrosoft Officeを使うユーザーの分だけ発生するライセンスです。
リモートデスクトップを使うけど、Microsoft Officeを使わない場合はライセンスを支払う必要がありませんが、Microsoft Officeをリモートデスクトップ環境で使う場合は、「使うユーザー分」だけライセンスを支払う必要があります。
Linux VPSとWindowsサーバー・VPSの料金の違い
ここまで見てきたWindowsサーバー・VPS形態を、Linux VPSと比較してみましょう。自身の自宅にあるWindows PCにリモートデスクトップをする場合も比較対象として入れてあります。
サーバー | サーバー料金 | OS料金 | リモートデスクトップSAL | Microsoft Office SAL |
---|---|---|---|---|
Linux VPS | 月額料金 | ¥ 0 | ¥ 0 | - |
Windowsサーバー・VPS | 月額料金 | サーバーごと 月額料金に含むことが多い | ユーザーごとに必要 | ユーザーごとに必要 |
個人PC | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
Linux VPSと違ってWindowsサーバー・VPSを使う場合は様々な料金が発生することがわかります。
個人PCをリモートデスクトップするのが一番安いですが、電気代やセキュリティの問題もあるため、主に企業ユースとしてはWindowsサーバー・VPSの需要があります。
ただし、ここまで見てきた通り「Windowsリモートデスクトップサーバー」は一般的なサーバーよりもコストがかかるため、導入する際は費用をしっかりと見積もる必要があります。
最近では、一部Linux VPSサービスでUbuntuのリモートデスクトップ環境を用意しているケースもあるため、コストダウンをしたいのであれば、そちらも検討すると良いでしょう。
価格は記載がある場合を除き、すべて税込みです。